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  • 3つ数えて(アヴドゥル×ポルナレフ 3部 ポル→アヴっぽい)

    category:JOJO二次創作小説

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こんにちは。


今回はまだ友人関係のアヴポルです。

ポルナレフがアヴドゥルのこと気になっちゃって、色々勘違いした結果、アヴドゥルに自分の気持ちを伝えようと四苦八苦するお話。多分アヴドゥルもポルナレフのこと好きなんだけど・・・って感じです。
アヴドゥルとられちゃう!って焦るポルナレフ。
3部の旅の途中です。

個人的に、ポルナレフは付き合っちゃったらアヴドゥルにいつも平気で好き好き言える感じですけど、付き合う前の最初の好きだけはすごい緊張しまくる感じな気がします・・・。

それでは小説は追記に格納↓
3つ数えて



1、アヴドゥルに何でもいいから声を掛ける。
2、アヴドゥルの肩に手を置く。
3、振り向いたアヴドゥルに笑って見せる。

これでいい。振る話題なんて、なんでも良いのだ。外国を旅している間は、話のタネになりそうなものなど、その辺にいくらでもゴロゴロしていた。

ポルナレフはいつも3つ数えて、この手順を踏んでいる。
心の中で数を数えて、落ち着いて会話の糸口を掴む。焦りは禁物だ。沈黙を恐れてはいけない。良い雰囲気を保つことを常に考えろ。

今までの恋愛経験から試行錯誤して編み出したこの方法で、ポルナレフはアヴドゥルとの関係を絶えず前進させてきた。一つ一つは初歩的な心得とテクニックながら、効果は上々だ。初めは敵同士だった自分たちが、いつの間にか友人となり、気づけばお互い相手のためには命の危険もいとわないと思えるほど近い存在へと変わっているのが、何よりの証拠である。

だが、ポルナレフは最後の一歩が踏み出せない。
ここ数日、ポルナレフは朝起きて顔を洗った後、鏡に映る自分の顔を睨む様に覗き込むのが習慣となりつつあった。鏡の中にいる緊張と恐れに満ちた自分を振り払って、喝を入れるためだ。

さあ、ジャン=ピエール・ポルナレフ、勇気を出せ!お前ならなんだってできるだろう?容姿に不足などない。お前はハンサムだし、紳士的だし、非の打ちどころのない男だ。誰だって惚れるさ。たった一言、好きだって言うだけだろ。思春期の子供じゃあるまいし、何を恐れることがある!

しかし、そんな涙ぐましいポルナレフの努力も、ホテルのロビーへ降りて、先に集合場所に居たアヴドゥルと顔を合わせるだけで水の泡と化す。
ぎこちない朝の挨拶が終わると、ポルナレフの口はピクリとも動いてくれなくなるのだ。そして、話しかけるタイミングを失い、その後は他の仲間も交えた談笑という形でしかアヴドゥルに関われなくなって、一日が終わる。ここ数日間は、この繰り返しだ。

―――そして、今日も同じように一日が過ぎようとしていた。

一行は既に本日の旅程を踏破し、日の暮れかけた街で今夜の宿を探している。
自分の気持ちとは関係のない無駄口はいくらでも叩けるのに、肝心の言葉は出し惜しみするこの身体が憎かった。

1、2、3。1、2、3。
ポルナレフは前を歩くアヴドゥルの背中を見つめながら、心の中で何度も唱え続けた。昨日も、今日も―――もしかしたら明日も同じことをしている。待て待て、それはダメだ。男になれ。

1、2、3。1、2、3。
常に自分を成功へ導いてきた魔法の言葉。この後に及んで、この呪文の何を疑う必要がある?ポルナレフは自分を叱咤激励した。今日こそは言うのだ。今日こそは、絶対に!

1、

「ポルナレフ」

ふいにアヴドゥルが振り返った。
心の中で数を数え続けていたポルナレフは、驚きのあまり、心臓を掴まれたようなひっくり返った声を出す。

「な、なんだよ?」
「すまない、驚かせたな」

歩くペースを落としてポルナレフの隣に来たアヴドゥルが、ポルナレフの肩に手を置いた。いやに真面目な顔をしている。

「今夜話したいことがある ホテルに着いて荷物を置いたら、私の部屋へ来てくれ」
「部屋・・・話・・・」

ポルナレフはアヴドゥルの部屋で二人きりになる、自分とアヴドゥルの姿を思い浮かべた。ポルナレフの喉がごくりと鳴る。
二人でベッドに腰掛けて、話をして、えっとそれから、それから、

「どうした、大丈夫か?体調が悪いなら、別の日でも――」

誰にも見えているはずはないのだが、先ほどの想像がアヴドゥルにバレてしまっていたらどうしよう、とポルナレフはひとり冷や汗を掻いた。アヴドゥルが心配するほどだから、顔に出ていたかもしれない。あるいは、スタンドを通して・・・とか。

「い、いや、部屋だろ?行く―――すぐ行く!」

そんなに急がなくてもいいぞ、とアヴドゥルは困ったように笑った。
アヴドゥルの顔を真っ直ぐ見ることが出来なくて、ポルナレフは俯き、交互に前へ出される自分のつま先を見つめる。

バレてしまったとしたら、もう腹を括るしかないだろう。今夜こそキメる。アヴドゥルの部屋で。
いや、でももしかしたら、今夜はすごい深刻な話をされるかもしれない。そんな雰囲気の時に言えるか?っていうか、そもそも俺一人だけ呼ばれたかどうかなんて、まだ分かんねえし。もしかしたら、承太郎とか花京院とか、ジョースターさんも来るんじゃあ・・・。

ポルナレフは横目で、隣を歩くアヴドゥルの顔を盗み見る。
アヴドゥルは何か物思いに耽っているようだった。伏せがちな目と厚めの唇に妙な色気を感じて、ポルナレフの心臓が跳ね上がる。

「お前、汗を掻いているぞ 暑いのか?」
「え?いや、そうでもない・・・多分・・・」
「多分?」

アヴドゥルは訝しむような目をポルナレフに向けている。なんでもない、と冷や汗を拭ったポルナレフは、大人しく地面に目を落としたまま、ひたすらホテル街までの道を歩き続けた。

ホテル街に着いてから宿に目星をつけるまで、そう時間は掛からなかった。
ジョセフが交渉に回り、空いている部屋数と部屋のタイプを聞く。この辺りの国は今の時期だと観光客が少ないらしく、一人部屋をとる日が続いていた。少なくとも、アヴドゥルが一人部屋に泊まれば、今夜ポルナレフがアヴドゥルと二人きりになれる可能性は高いのだ。
ポルナレフはそわそわしながら、ホテルのロビーでジョセフが戻ってくるのを待つ。

交渉の結果、今夜は全員一人部屋に泊まることになった。
ポルナレフは自分の部屋に荷物を放り込むと、すぐに部屋の鍵をポケットに入れた。急ぎ足で自分の部屋のドアへ向かう。

―――いや、待て待て。

此処まで来て、ポルナレフはドアノブに伸ばしかけた手を引っ込めた。
こんなに早く行ったら迷惑じゃないか?相手だって、まだ何か色々準備してるかもしれない。荷物の整理をしたり、部屋の備品やなんかを確認したり・・・アヴドゥルならいかにもやりそうだ。あと5分ぐらい後に行ったっていいんじゃないか。いや、きっとその方がいい。

ポルナレフは部屋の奥に引き返した。ベッドの隅に腰掛けて、壁にかけられた目の前の姿見を眺める。鏡の中にいるもう一人のポルナレフは情けない顔でこちらを見返していた。
今日、自分はアヴドゥルに思いを伝える。あまり考えたくはないが、もし拒絶されたら、今まで育ててきたこの感情はどこへ行くのだろうか?例え思いが実らなかったとしても、仲間として、共にこの旅は続けなければいけない。もちろんそれは覚悟の上だ。しかし、自分の気持ちを押し殺してまで、旅を続けることなどできるのだろうか?好きになることも許されないとしたら―――

「でも、俺は言うぜ」

ポルナレフは鏡の中の自分の目を真っ直ぐに見返した。

「今夜言うんだ」

よし、と言ってポルナレフはベッドから立ち上がる。ポケットの中の鍵を確認して、ポルナレフは部屋を飛び出した。

いざアヴドゥルの部屋の前に立つと、ポルナレフの気持ちはまた挫けてしまいそうになる。チャイムを鳴らそうと伸ばした手はひどく震えていた。ボタンの上に指を置いては離し、置いては離しを繰り返す。その様子を、近くの部屋の住人が通りすがりに訝しんでいた。
ずっとここにいる訳にもいかない。ポルナレフは深呼吸すると覚悟を決める。

もうどうにでもなれ!
ポルナレフが強くチャイムのボタンを押し込もうとした瞬間、唐突に部屋のドアが開いた。

「ゲッ」

思わずなんとも言えない声を上げて後ずさったポルナレフに、出て来た男は、失礼な奴だと不快な顔を隠しもしない。ドアを開けたのはアヴドゥルではなく、花京院だった。

「なんでお前が居るんだよ!」
「それはこっちの台詞だ 僕はアヴドゥルさんに呼ばれたんだ・・・もう帰るけど」
「あ、そう・・・」

話があるって、俺だけじゃなかったのか。

「ポルナレフも呼ばれたのか?」
「まあな」
「そうか じゃあやっぱり今日・・・」

なんだよ、と言っても花京院は首を振って何も教えてくれない。

「花京院、誰かいるのか?」

ドアを半分開けたまま話していたので、声が聞こえていたのだろう。ふいに部屋の主が、花京院の後ろから現れた。

「ア、アヴドゥル・・・」
「なんだ、ポルナレフ 来ていたのか」

部屋から半身を覗かせたアヴドゥルの視線が、ポルナレフに注がれる。

「部屋の前で鉢合わせしたんで、ちょっと喋ってたんです」

花京院に目で促され、ポルナレフはコクコクと頷いた。

「そうか」

アヴドゥルの目はポルナレフを見つめたまま動かない。ポルナレフは蛇に睨まれた蛙のように身をすくませていた。気まずい沈黙が流れる。
やがて、二人の様子を交互に窺っていた花京院が、遠慮がちに口を開いた。

「あの・・・僕はこれから承太郎と食事に行く約束をしているので」
「ああ、気を付けてな」
「ありがとうございます」

それではお邪魔しました、と言って花京院は立ち去った。アヴドゥルとポルナレフは黙って花京院の背中を見送る。その背中が見えなくなると、アヴドゥルはポルナレフに部屋へ入るよう促した。ポルナレフはぎこちなく足を動かして、アヴドゥルの後ろについて部屋のドアをくぐる。

「適当に座っていてくれ」
「あ、うん・・・」

ポルナレフがベッドに腰を下ろしたのを見ると、アヴドゥルはコーヒーを淹れようと言ってポットを手に取った。テーブルの上には既にカップが2つ出ていて、中にはまだ少しコーヒーが残っている。片方はさっきまで居た花京院の物だろう、とポルナレフはぼんやり思った。
花京院と何を話していたんだろうか。今から自分に話すことと同じだろうか。それとも、自分には言えないようなことを花京院に相談していたりして・・・。

ポルナレフは湯を沸かすアヴドゥルの背中を見た。
花京院は仲間の中では一番若いが、仲間想いだし、口も堅そうだ。真面目だから、きっとどんな相談でも真剣に聞いてくれるだろう。花京院と何を話してたんだ?もし聞いたら、アヴドゥルは教えてくれるだろうか。

アヴドゥルがコーヒーの入ったカップをポルナレフに差し出してきた。ポルナレフは礼を言って受け取り、一口それを啜る。アヴドゥルは自分のカップにもコーヒーを注いだが、口をつけることなくそれをテーブルに置いた。

「それで話なんだが」

ポルナレフに向かい合う形で椅子に腰掛けると、アヴドゥルは妙に改まった顔で切り出してきた。
ポルナレフは身体を固くして、次の言葉を待った。カップの液面を穴が空くほど見つめる。映り込んだ自分の目は怯えているようにも見えた。

「とても個人的なことで、」

アヴドゥルは言い淀んでいるように言葉を切る。
ポルナレフは声が喉に張り付いて上手く出て来なかった。コーヒーをどれだけ飲み込んでも、ポルナレフの喉はカラカラだ。ポルナレフは相槌の言葉の代わりに、頷いて先を促した。

「お前、同性に好意を持ったことはあるか?」
「なに?」
「同性を好きになったことはあるか、と聞いている」

え・・・え?
ポルナレフは思わずカップを落としそうになった。アヴドゥルは膝の上で組んだ手を見下ろしている。その親指が所在無げに動くのを呆然と見守りながら、ポルナレフは先ほどの言葉の意味を考えた。
同性。自分もアヴドゥルも男である。同性を好きになるということ。つまり男を好きになるということ。男を好きになったことはあるか?とアヴドゥルは聞いているのだ。ある。あるあるある。今まさに。しかし、そんなことを自分に聞いて来るアヴドゥルの意図が分からない。それって、つまり。

「えっと、アヴドゥルが男を好きってことか?」
「なんでそうなる」

え、違う?と首を傾げるポルナレフに、アヴドゥルは苦笑いした。

「お前に男を好きになったことはあるかと聞いているのに」

深く考えすぎだ。
アヴドゥルはカップを手に取り、一口啜った。

「まあでもそうだな―――半分正解かもしれん」

アヴドゥルはひとり言のように呟いた。

「な、なんで!」
「なんでと言われても困る そういうのは理屈があってそうなる訳じゃないだろう」
「そうだけどさ・・」

誰?俺の知ってる人?もしかして、今いる4人の中の誰か?

「何をそんなに慌てているんだ?」
「慌ててない!」

アヴドゥルは呆れたような顔でポルナレフを見た。ポルナレフは浮かせかけていた腰を、再びベッドに落ち着ける。

「それより、私の質問に答えていないぞ」

一転して、ポルナレフは口ごもる。どうせ今日言ってしまうのに、まだどこか躊躇いが残っていた。そうでなくても、こういうことを改めて話すのは何だか恥ずかしいものだ。ポルナレフは両手でカップを握りしめた。

「・・・ある」
「あるんだな?」
「だから、そう言ってるだろ!」

噛みついてみたところで、アヴドゥルはちっとも怯まない。一人頷いて、何か納得したような素振りを見せている。

「俺が言ったんだから、アヴドゥルも言えよ」
「何をだ?」
「アヴドゥルもそうなのか?」

本当に男が好きなのかって聞いてんだよ。半分正解なんて曖昧すぎるだろ。

「分からない」
「はあ?」
「分からない だから、お前に聞こうと思っている」

アヴドゥルはカップをテーブルに置いて椅子から立ち上ると、ポルナレフの隣に座った。ベッドが軋む音がやけに耳に障る。

「男を好きになるとどうなるのか、教えてくれ」
「どうなるって・・・」

つまり、アヴドゥルは自分の抱く感情が本物かどうか自信がないってことか。
自分で占いでもやってみればいいのに。ポルナレフは一瞬そんなことを考えて、そういえばアヴドゥルはこういうことに占いを使いたがらないんだった、と思い出す。

アヴドゥルの感情が、いわゆる恋愛における好意であるか否かを判定することは容易いだろう。しかし、それがどういう結果をもたらすかは分からない。もしその感情を向けている相手が自分ではなかったとしたら―――場合によっては自分以外の人間と関係を結ぶ手助けをしてしまうかもしれないのだ。

「な、なあアヴドゥル 教えるのは良いんだけどよ その前に」
「なんだ」
「その・・・あんたが好きかもしれないやつって、今一緒にいる4人の中に、いる?」
「・・・いる」

自分の好きな人が毎日自分以外の人間を愛する姿を間近で見せつけられて、正気でいられる人間なんていない。ポルナレフはますます頭を抱えた。
ジョースターさんか?一番長い付き合いだし。いやいや、もしかしたら花京院かも。さっきだって部屋にいたし、結構信頼されてる気がする。性格も似てるとこあるから、気が合いそうだ。それとも意外な線で承太郎?頼れるし、顔だってなかなかいけてる。もしかして、アヴドゥルって面食いなのか・・・。

「ポルナレフ?」

黙りこくってしまったポルナレフの顔を、アヴドゥルが気遣うように覗き込んでくる。その黒い目は嘘偽りなく、ただ純粋に自分を心配しているようだった。

その目を見て、ポルナレフは思い直す。
アヴドゥルが幸せならそれでいいのではないか?今自分に有利なように答えを捻じ曲げても、きっとアヴドゥルは幸せにはなれない。もちろんアヴドゥルがその相手とどうなるかなんてことは分からないが、少なくとも本当のことを教えてやって、どうしたいのかは自分で決めさせてやるのがアヴドゥルに対する誠意ではないか?恋愛の駆け引き云々を抜きにしても、大事な人にこういうことで嘘を吐くなんて男らしくないし、何より卑怯だ。

「分かった」

ポルナレフは頷いた。

「えっと、何から教えたら良いんだ」

ポルナレフはアヴドゥルを好きになり始めた辺りのことを思い返す。それほど前のことではないのに、あまりはっきりと思い出せない。

「まあなんつーの 大枠は女を好きになるのと一緒だ」
「本当に?」
「いつの間にか好きになって 一緒にいたら楽しかったりどきどきしたり あとは、一人で寝るのが寂しくなったりとか」

アヴドゥルは難しい顔で自分のつま先を眺めている。続けてくれ、と言われて、ポルナレフは懸命に頭の中の記憶を漁った。

「むかつくとこがあっても許せるようになる それから触ってみたいなとか、そういうのもある 色々そいつのこと知りたいと思うし 構ってもらえたら嬉しい 毎日会ってても、急に声聞きたいとか顔見たいとか思ったり」

隣のアヴドゥルはますます険しい顔をしていた。眉間にしわを寄せて、もうほとんど自分の足を睨む様に見つめている。

「その男は本当にお前に好かれていたんだな」

本気になった女にさえ、この年になるとそこまでの情熱は抱けないだろう。アヴドゥルは顔を顰めたまま苦笑した。

「今でも、好きだぜ」
「今でも?」
「ああ」

初めて会ってから、ずっと好きな奴なんだ。

「そこまで思われて、幸せな男だ」
「そうかな」
「そうだろう」

アヴドゥルは組んだ足に片腕を置いて、頬杖をついた。どこか遠くを見るような目で正面の壁を眺めている。ポルナレフはこの部屋に姿見がないことに、今気づいた。

「女を好きになるのと変わらないなら、嫉妬したりもするんだろうな」
「もちろん する」
「じゃあきっと、私はその男が好きなんだろう」

アヴドゥルは静かに答える。物音一つしない部屋で、その小さな声はやけにはっきりと響いた。
ポルナレフはアヴドゥルの横顔を見つめながら、内心嘆息する。ついにアヴドゥルは自分の感情の正体に気づいてしまった。同性同士なんてありえない、と根っこから拒絶される可能性はなくなったものの、未知なる恋敵の出現に、ポルナレフはかなり動揺している。

言わねば。ポルナレフは唇を噛んだ。今言わないと、もしかするとアヴドゥルがその男に思いを告げて結ばれてしまうかもしれない。そうしたら、自分が思いを伝える機会はきっと永遠に失われる。そんなのは嫌だ。俺の方がそいつより絶対、絶対先にアヴドゥルのこと好きになったのに!

「アヴドゥル、」
「なんだ?」

物思いに耽っていたのだろうか、急に話掛けられたアヴドゥルは驚いたようにポルナレフを見た。

「俺、今日アヴドゥルに言おうと思ってたことがあって」
「ああ・・・言ってくれ」

どうぞ、という仕草で先を促される。

「あの、俺、」

ここまで言って、ポルナレフは冷や汗がどっと湧き出るのを感じた。頭がどれだけ言え!と喚いても、身体が動かない。時間が止まってしまったような錯覚に陥って、ポルナレフの焦りだけが募っていく。ポルナレフは乾いてささくれた唇をなめた。この24年の人生の内で、どの女の子に告白する時だって、こんなに緊張したことはない。

「俺は、」

ポルナレフは両手の拳を握りしめる。アヴドゥルの黒い目はじっとポルナレフを見つめていた。ポルナレフは魔法の言葉を思い出し、頭の中で何度も繰り返す。

1、2、3。1、2、3。
大丈夫だ、ポルナレフ。今しかない。言うんだ。もう1の手順は終わってるだろ?あとはアヴドゥルの肩に手を置いて、好きだって言うだけじゃねえか。

1、2、3。1、2、3。
ポルナレフは唾を飲み込んで、深呼吸する。目の前のアヴドゥルは辛抱強く、ポルナレフが口を開くのを待っていた。

1、2、3。1、2、3。
ポルナレフはそっとアヴドゥルの肩に手を置いた。ぎこちなく笑みを浮かべると、アヴドゥルの唇も緩んで小さく笑みを返してくれる。いつだってそうだった。

1、2、3。1、2、3。

「俺、ずっとアヴドゥルのこと、」

どうしようもなく声が震えて、ポルナレフは思わずアヴドゥルに飛びついた。とても長い距離を走った後のように息が上がっている。アヴドゥルを正面から抱きしめて、今自分はとんでもないことをしているのではないか、という浮遊感だけが全身を駆け巡った。喉はとうに詰まってしまって、今は声を上げるどころか、息をすることさえ難しい。

やがて、アヴドゥルの両腕がゆるゆるとポルナレフの背中に回される。促すように背中を優しく撫でられて、ポルナレフは次の言葉を探した。もう何度も何度も心の中で繰り返した言葉だ。擦り切れるほど使い古された言葉。あと何回呪文を繰り返したら、自分はアヴドゥルにそれを告げることが出来るのだろうか。ポルナレフは目を閉じて、いつまでも祈るように数え続ける。

1、2、3。1、2、3。

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テーマ:ジョジョの奇妙な冒険
ジャンル:アニメ・コミック

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海野ヒレ

Author:海野ヒレ
生き物大好き:海野ヒレ

pixiv: http://pixiv.me/umino-hire

twitter: https://twitter.com/umino_hire

身分:腐海の底で汚泥を啜る大学生。これでも医学生よ!

誕生日:8/4 吉田松陰先生と一緒(旧暦)

血液型:AB型

好きなゲーム:一生不動の一位はサガフロンティア2。異論は認める。

好きな漫画:ほんと色々。オリジナルBL、擬人化、アンソロも読みますモグモグおいしいおかわり!百合も逝ける。でも大まかに言うとギャグは大体好きみたいよ。

属性:自然発生型腐女子。小説メイン、イラスト少々にて活動中。拍手、コメントを貰うと喜びにくるいもだえるのだ。

特技:マイナーなジャンル・キャラ・CPばかりに熱烈な愛を送る。時々切ない。

好きなものごっちゃで詳しく:銀魂、サガフロ2、ダンガンロンパ、ギャグマンガ日和、+チック姉さん、ジョジョの奇妙な冒険(3部)、クロノクロス、ジルオール、ドリフターズ、モノノ怪、さらいや五葉、魔法少女まどか☆マギカ、モンハン、討鬼伝、アサシンクリード、フロンティアゲート、牧場物語、聖剣伝説LoM、FFXなど

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